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略歴:1938年 京都生まれ。ワコールの前身 和江商事株式会社へ入 社以来広告宣伝・広報・販促・商品企画・ブランド開発・品質規格など一貫して企画の仕事を担当。約10年の宣伝部長時代はワコール黄金時代を演出してきた。
ヒット商品、ヒット企画で市場をリードし1998年夏に退社。その翌日から「三田村和彦企画事務所」をつくり、複数の企業のマーケテイング顧問をしながら講演やコンサルテイングをはじめ、月10本平均の連載記事をこなしている。日本ペンクラブ会員。日本マーケティング協会マーケティングマイスターなど
著書:「女性感覚市場」(ダイヤモンド社)バブル期に、開拓・開発、研鑚・教育、研究・計画の各「K」を手抜きした。何の努力も苦労もせず、超一流を望む人たちがなんと多いことか。いまこそ、余分なものを落として身軽になり、本質的なものだけ残せ。プラスすることがよかった時代から、マイナス、カット、省、セーブ、微香性、ノンといったことが見直される時代。余分な機能はいらない。これを「マイナスのプラス効果」とよぼう。
「不況」でなく「普況」。バブルが異常だった。いまが普通。バブル期にやるべきことをさぼってきた。会社の最優先すべきは何なのか。自分のやるべきことは何なのか。今こそ考えよ。自分自身で考えよ。ワコールでは、企業文化を肉声で後輩たちに語り継ぐ企業文化伝承塾を開催している。
2.スピードの時代に時間のかかる大切なものを三ツ「信用」「ブランド」「(ワコール)らしさ」、この三つは、鍾乳洞と同じ。短時間では決して作れない。一方、つぶすのは簡単。いずれも今の時代に一番大切なもの。
3.企業の生き残りには二つの方法しかない贅肉を落としてスリムになる「リストラ」と新しい筋肉をつける「開発」。リストラといえば、すぐ人減らしを考えるが、「事業のリストラ」「ブランドのリストラ」「営業拠点のリストラ」(例:しまなみ海道の開通→四国営業所を広島と統合)「子会社のリストラ」「取引先のリストラ」「エリアのリストラ」などがある。
開発は独創力のある商品、営業企画力。物を売って金に替えるだけの営業ならただの運び屋。運び屋でない営業マンは、情報を取ってくる。それを生かした企画・提案を持ってくる。
4.無駄は省け、しかし必要なことは手抜きするな会議や資料に凝り過ぎて、昔のように、懸命に伝える努力、わからせる努力をしなくなっている。
5.被害者になるな、加害者になれ「変化の加害者」になれ。被害者になると追いかけられて苦しくなるだけ。主導権をとれ。少しだけ先手を取れ。気配・兆候を見抜け。
6.そろばん型と電卓型の発想そろばんは目と耳と脳みそが同時に動くというプロセスが大事。電卓は手だけ動かせば正しい結果が出る。仕事に大切なのはプロセス。プロセスとしてどういう手が打たれてきたか?
POS最大の欠点は、データがすべて過去のものであること。POSに頼ると、提案・企画がなくなる。ダイエーの失敗は、POSを重視し、客のことを考えなかったこと。中内さんはいまごろになって、やっとそのことに気がついた。これではおもしろい店舗にならない。
7.小さくてもいいからプラスの情報に耳を傾けよ。マイナスの情報がよく新聞に載る。これをいくら集めても役に立たない。小さくてもいい、プラス情報を探せ。「不況だが、地方の○○は元気がいい」など。
8.その前とその次のステップを考えられる人になれ。自分がやっているこの仕事の「前」と「後ろ」を考える。前の人と後ろの人の役割を考えてあげる。その人のために自分も行動する。
9.お客はむしろ増えていることに気づいて、サービスを3倍にせよ。お客とはだれだ? 競合メーカーの商品を買っている人にどうアプローチしていくか。いずれお客になる人にどうアプローチするか。まだ胸のふくらみがない女の子に、ワコールとしてどう対応するか。物のやりとりをする人=客ではない。情報のやりとりをする人が客である。
10.本籍と現住所という考え。畳屋と襖屋と左官がグループを作って営業すれば、お互いの情報が生かせ、商売が繁盛する。商品には本籍と現住所がある。真っ赤な靴の本籍は靴屋。しかし靴屋で真っ赤な靴は売れない。ファッションのブティックに並べればどうか。きわめておしゃれな靴になる。現住所を変えることにより、売れ行きも変わる。売り方を間違えるな。現住所をどこにするか?
11.社長は働け、社長室のドアはこわせ。社員食堂でめしを食え。人間の気遣い、配慮はこれからますます大事になる。イトーヨーカ堂の社長が来て、「うちにやってくる若い営業マンに直接挨拶したい」。新聞配達員の手紙「おかげさまで今度大学を卒業して、故国に帰ることになりました。ながらくありがとうございました・・・」
居心地のいい弱者、仲良し集団に入ると、飛び出せない。ストレスがたまると同じような人が集まりがち。出る杭になれ。
18.たくさん売りたいのか、少しだけ売りたいのか。少しだけでいいなら、ユニークなもの、尖ったものでいい。たくさん売りたければそれではだめ。
19.一歩弱半歩強の精神。一歩進むと進みすぎてみんながついてこない。半歩では物足りない。たくさん一気に売るには、尖んがりすぎてもだめ。
20.会社は大きくしなければならないのか。必要以上に大きくすることを考えず、いったん質的拡充にウエイトをおくべき。大きくしようとすれば、無理が出る。分不相応な方面に手を出す。社員の能力を超えたことをやろうとする。
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